2026.02.22
ピアノを習っている子はなぜ“やり抜く力”が育つのか?|グリットと音楽教育の関係【2026年最新版】
「ピアノ やり抜く力」は相性が良いテーマです。ピアノは“できるようになるまでの道のり”が小さく区切られており、挑戦→工夫→達成を繰り返すことで、子どものグリット(やり抜く力)を育てやすい習い事です。
1. 「やり抜く力(グリット)」って結局なに?
「やり抜く力」と聞くと、根性・我慢・忍耐を思い浮かべる方も多いかもしれません。けれど、子どもに必要なのは“気合いで耐える力”ではありません。
やり抜く力(グリット)とは、もっと日常的で、やさしい力です。
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うまくいかない日があっても、またやってみようと思える
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目標に向けて、工夫しながら続けられる
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失敗したときに、立て直し方を覚えられる
つまり「折れない心」というより、「折れても戻ってこられる心」に近いものです。
アンドミュージックの現場でも、子どもたちの変化はよく“劇的な瞬間”として語られますが、実際はその前に、もっと小さな積み重ねがあります。たとえば、
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最初は椅子に座るだけで精一杯だった子が、10分座れるようになる
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片手で3音だけ弾けたことを喜べるようになる
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「もう一回やる」と自分から言える日が増える
こうした小さな芽が、やり抜く力の正体です。
2. なぜ今、やり抜く力が注目されているのか
習い事選びの相談で増えているのが、「上達」よりも「続くかどうか」を気にする声です。
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すぐ飽きてしまう
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失敗すると投げ出す
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家庭で練習が続かない
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そもそも習い事を嫌がる
背景には、子どもを取り巻く環境の変化があります。情報量が多く、選択肢も多い時代は、刺激が強い分「続ける」ことが難しくなりがちです。だからこそ、続ける経験そのものが価値になります。
そして、続ける経験は“学力”とは別のところで効いてきます。
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できない時間に耐える
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工夫を試す
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小さな達成で自信がつく
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次の挑戦ができる
この循環が、非認知能力(自己肯定感・自己調整力・粘り強さ)を育てます。
3. ピアノが「やり抜く力」を育てやすい5つの理由
ここから本題です。なぜ「ピアノ やり抜く力」は相性が良いのでしょうか。ポイントは“仕組み”にあります。
理由1:目標が具体的で、ゴールが見えやすい
ピアノは「この曲を弾けるようになる」というゴールがはっきりしています。しかも、ゴールは“曲全体”だけではありません。
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今日は右手だけ
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次は左手
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次は両手で2小節
というように、ゴールが小さく作れます。
子どもは「できないこと」には弱いですが、「できそうなこと」には強いです。小さく区切られたゴールがあると、やり抜く力は自然に育ちます。
理由2:成長が可視化される(昨日との違いがわかる)
ピアノの良いところは、上達が“音”として出ることです。
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音が途切れなくなった
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テンポが安定した
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間違える場所が減った
こうした変化が見えると、「努力が無駄じゃなかった」と感じられます。努力が意味を持つと、子どもは続けられます。
理由3:失敗が前提の構造(間違えるのが普通)
ピアノは、最初から完璧に弾けることはありません。間違えるのが当たり前です。だからこそ、ピアノは“失敗の扱い方”を学ぶ場になります。
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どこで間違えた?
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どう直す?
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何を工夫する?
この一連の流れが、やり抜く力のトレーニングになります。
理由4:自分のペースで積み上げられる
スポーツはチームや試合の都合で、相対比較が起きやすい面があります。一方、ピアノは“自分との勝負”を作りやすい習い事です。
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先週の自分より、少しだけ前へ
この感覚が育つと、やり抜く力は「比較」ではなく「積み上げ」に変わります。
理由5:先生の声かけが成果に直結する
ピアノは、先生のフィードバックがそのまま次の行動になります。
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どこを直せばいいかが具体的
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どう練習すればいいかが明確
この“次の一手”が分かる環境は、子どもにとって安心です。安心は挑戦の土台であり、挑戦はやり抜く力の源です。
4. アンドミュージックで見てきた「やり抜く力が芽生える瞬間」
ここから少し、教室の空気をお伝えします(個人が特定されない形で、よくある場面として書きます)。
場面A:最初は「できない」が口ぐせだった子
最初のころは、弾く前に「できない」と言う子がいます。ここで大事なのは、「できないって言わないの!」と止めることではありません。私たちは、こう返します。
「うん、最初はできないよ。じゃあ、どこならできそう?」
“できない”を否定せず、“できそう”に切り替える。この一言で、子どもは一歩動けます。
場面B:練習していない日が続いた子
家庭が忙しい時期、練習が止まるのは自然なことです。大切なのは“ゼロにしない”設計です。
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1日1回、鍵盤に触るだけ
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30秒だけ、好きな音を鳴らす
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1小節だけ、ゆっくり弾く
続く子の多くは、練習時間が長いのではなく「途切れない工夫」を持っています。
場面C:発表会前に涙が出た子
発表会前は、誰だって怖いです。私たちは“怖さ”を消しません。代わりに、怖さを小さくします。
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今日のゴールは「途中で止まっても最後まで行く」
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次は「止まらずに最後まで行く」
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最後は「表情も入れてみる」
こうして段階を踏むと、子どもは最後に自分で言います。
「もう一回やる」
この“自分の言葉”が、やり抜く力の核心です。
4.5 「やり抜く力」が育つ練習の“設計図”|アンドミュージックがよく提案する3ステップ
ここまで読んで、「なるほど。でも家ではどう回せばいいの?」と思った方もいるはずです。そこで、アンドミュージックでよくお伝えしている“やり抜く力が育つ練習の設計図”を、具体的にまとめます。ポイントは、子どもが自分で進められる形に落とすことです。
ステップ1:ゴールを「15分で終わる単位」にする
「この曲を完成させよう」は大きすぎます。最初は、15分以内に終わるゴールがちょうどいいです。
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今日はこの2小節だけ、ゆっくり弾く
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右手の指番号を守って弾く
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最後の和音をきれいに鳴らす
終わりが見えると、子どもは安心して始められます。
ステップ2:練習の“型”を固定する(迷いを減らす)
続かない原因のひとつは「何からやればいいか分からない」ことです。型を固定すると、迷いが減ります。おすすめはこの順番です。
1)まず1回だけ通して弾く(できなくてOK)
2)引っかかった場所を1〜2か所だけ直す
3)もう1回通して終わる
これだけで、練習が“作業”ではなく“前進”になります。
ステップ3:終わりに「できたメモ」を残す
最後に10秒でいいので、「今日できたこと」を一言残します。親が書いても、子どもが書いてもOKです。
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右手が止まらなかった
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ここのリズムが合った
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最後までやった
このメモは、次にやる気が下がった日に効きます。「自分は前に進めた」と思い出せるからです。やり抜く力は、こういう“思い出せる仕掛け”で育ちます。
5. 「激褒め」はグリットを甘やかすのか?
アンドミュージックの特徴として「激褒めレッスン」を知ってくださっている方も多いと思います。ここで誤解されがちなのが、「褒める=甘やかし」という見方です。
私たちが大切にしているのは、“気分を上げる褒め”ではなく“事実を言語化する褒め”です。
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「今のリズム、前より安定したね」
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「音の出し方がやさしくなったね」
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「間違えたあと、すぐ戻れたね」
こういう褒めは、子どもの中に「成長の地図」を作ります。
成長の地図があると、子どもは迷わなくなります。迷わないと、続けやすくなります。続くと、やり抜く力が育ちます。つまり、激褒めは“継続の設計”です。
6. 逆に、やり抜く力が育ちにくい環境とは
ここは大事なので、あえて書きます。同じ「ピアノ」でも、環境が違うと結果が変わります。
パターン1:完璧主義が強すぎる
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間違えるたびに止められる
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小さなミスが大きく指摘される
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「できて当たり前」が前提になる
この環境では、挑戦より回避が増えます。回避が増えると、やり抜く力は育ちません。
パターン2:比較が中心になる
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他の子と比べられる
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スピードだけが評価される
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コンクールが唯一の尺度になる
比較は短期の伸びには効くことがありますが、初心者の子どもには負荷が大きいこともあります。「自分のペースで積み上げる」感覚が薄れると、続けるのが難しくなります。
パターン3:次の一手が見えない
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何をどう練習したらいいかわからない
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宿題が抽象的
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家で再現できない
この状態だと、努力が成果につながりにくく、モチベーションが下がります。やり抜く力を育てるには「何をすれば前に進むか」が明確であることが重要です。
6.5 「できない日」をどう扱うか|グリットが折れない子の共通点
どんな子でも、できない日はあります。むしろ、できない日の扱い方こそがグリットの本番です。折れない子に共通するのは、才能ではなく“立て直し方”を知っていることです。
アンドミュージックでは、できない日を「撤退」ではなく「調整」と呼ぶことがあります。たとえば、
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今日は練習をやめる → 代わりに鍵盤を触るだけにする
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今日は曲が嫌だ → 代わりに好きな音を鳴らす時間にする
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今日は集中できない → 代わりに先生に相談するメモを書く
ゼロにしない。完全に手放さない。この小さな工夫が、結果的にやり抜く力を強くします。
「今日は無理」と言った子が、次の日に戻ってこられたら、それは立派なグリットです。私たちは、その“戻ってきたこと”を丁寧に扱います。音楽は、そういうやさしい再スタートを許してくれる場所でもあります。
7. 家庭でできる「やり抜く力」を育てる関わり方(今日からできる)
ここからは、ご家庭でできる関わり方です。難しいことは要りません。
1)問いかけを変える:「上手だった?」より「どこが良かった?」
結果評価は、子どもを短期モードにします。代わりに、プロセスに焦点を当てます。
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「今日、どこが一番よかった?」
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「昨日より良くなったところ、どこだと思う?」
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「先生に褒められたの、どこだった?」
この問いかけが、成長を“自分で見つける力”を育てます。
2)練習のハードルを下げる:「毎日30分」より「毎日30秒」
忙しい日は、あります。続く家庭は“量”ではなく“途切れない工夫”を持っています。
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夕食前に30秒だけ弾く
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お風呂の前に1小節だけ
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寝る前に好きな音を鳴らすだけ
この小ささが、やり抜く力の母体になります。
3)比較をしない:「あの子はできるのに」を封印する
比較の言葉は、子どもの心をすり減らします。代わりに、“過去の自分”と比べます。
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「先週より、指が動いてたね」
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「前より音がきれいだったね」
この言葉は、続ける力の燃料になります。
8. 体験レッスンで見たい「グリットが育つ教室」のチェックポイント
もし恵比寿でピアノ教室を探しているなら、体験レッスンで“やり抜く力が育つ設計”を見てほしいです。
チェック1:先生が「できた事実」を具体的に言うか
「上手!」ではなく、「何が良かったか」を言語化しているか。
チェック2:間違えたときの扱い
間違えた瞬間に、空気が重くならないか。「いいね、じゃあここだけもう一回やってみよう」と前に進めるか。
チェック3:宿題が“再現可能”か
家で何をすればいいかが具体的か。「右手をゆっくり」「この2小節だけ」など、行動に落ちているか。
チェック4:子どもが“自分で決める場面”があるか
「どっちの曲がいい?」「このテンポでいけそう?」など、子どもが選べる余地があるか。自分で決める経験は、継続の根になります。
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9. よくある質問(FAQ)
Q1. ピアノを習えば、誰でもやり抜く力が育ちますか?
A. 「ピアノ」という種目だけで自動的に育つわけではありません。目標の分解、声かけ、家庭の関わり方など、環境設計が整うほど育ちやすくなります。
Q2. すぐ飽きる子でもピアノは向いていますか?
A. 向いていないと決める必要はありません。むしろ、短いゴールを重ねられる環境なら「続く体験」を作りやすいことがあります。最初は“好きな音を鳴らすだけ”でも十分です。
Q3. 何歳から始めるとグリットが育ちますか?
A. 年齢よりも「安心して挑戦できるか」が重要です。小学生から始めて伸びる子もたくさんいます。
Q4. 発表会はやり抜く力に効果がありますか?
A. はい。発表会は“長期目標”を経験できる貴重な機会です。ただし、プレッシャーをかけすぎず、段階的に準備できる設計が大切です。
Q5. 親がピアノ経験ゼロでも大丈夫ですか?
A. まったく問題ありません。親が教える必要はなく、「続けやすい環境づくり」と「言葉のかけ方」だけで十分です。
10. まとめ|ピアノが育てるのは「最後までやってみよう」と思える心
「ピアノ やり抜く力」は、偶然ではありません。ピアノには、グリットを育てる仕組みがあります。
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目標が具体的で、小さく分解できる
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成長が可視化され、努力が実感できる
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失敗が前提で、立て直しを学べる
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自分のペースで積み上げられる
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先生の声かけで“次の一手”が明確になる
そしてアンドミュージックが大切にしているのは、音楽を通して「音と育つ」時間をつくることです。上手にすることだけがゴールではなく、
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できない日があっても戻ってこられる
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自分で立て直せる
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小さな成長を喜べる
そんな“続く力”を、あたたかく育てていきたいと思っています。
もし今、
「うちの子、続くかな…」
「すぐ諦めるのが心配で…」
と感じているなら。ピアノは、やり抜く力を育てる“やさしい練習場”になり得ます。その選択肢のひとつとして、知っていただけたらうれしいです。