ピアノを習っている子はなぜ“やり抜く力”が育つのか?|グリットと音楽教育の関係【2026年最新版】

広尾 ピアノ

「ピアノ やり抜く力」は相性が良いテーマです。ピアノは“できるようになるまでの道のり”が小さく区切られており、挑戦→工夫→達成を繰り返すことで、子どものグリット(やり抜く力)を育てやすい習い事です。

1. 「やり抜く力(グリット)」って結局なに?

「やり抜く力」と聞くと、根性・我慢・忍耐を思い浮かべる方も多いかもしれません。けれど、子どもに必要なのは“気合いで耐える力”ではありません。

やり抜く力(グリット)とは、もっと日常的で、やさしい力です。

  • うまくいかない日があっても、またやってみようと思える

  • 目標に向けて、工夫しながら続けられる

  • 失敗したときに、立て直し方を覚えられる

つまり「折れない心」というより、「折れても戻ってこられる心」に近いものです。

アンドミュージックの現場でも、子どもたちの変化はよく“劇的な瞬間”として語られますが、実際はその前に、もっと小さな積み重ねがあります。たとえば、

  • 最初は椅子に座るだけで精一杯だった子が、10分座れるようになる

  • 片手で3音だけ弾けたことを喜べるようになる

  • 「もう一回やる」と自分から言える日が増える
    こうした小さな芽が、やり抜く力の正体です。

2. なぜ今、やり抜く力が注目されているのか

習い事選びの相談で増えているのが、「上達」よりも「続くかどうか」を気にする声です。

  • すぐ飽きてしまう

  • 失敗すると投げ出す

  • 家庭で練習が続かない

  • そもそも習い事を嫌がる

背景には、子どもを取り巻く環境の変化があります。情報量が多く、選択肢も多い時代は、刺激が強い分「続ける」ことが難しくなりがちです。だからこそ、続ける経験そのものが価値になります。

そして、続ける経験は“学力”とは別のところで効いてきます。

  • できない時間に耐える

  • 工夫を試す

  • 小さな達成で自信がつく

  • 次の挑戦ができる
    この循環が、非認知能力(自己肯定感・自己調整力・粘り強さ)を育てます。

3. ピアノが「やり抜く力」を育てやすい5つの理由

ここから本題です。なぜ「ピアノ やり抜く力」は相性が良いのでしょうか。ポイントは“仕組み”にあります。

理由1:目標が具体的で、ゴールが見えやすい

ピアノは「この曲を弾けるようになる」というゴールがはっきりしています。しかも、ゴールは“曲全体”だけではありません。

  • 今日は右手だけ

  • 次は左手

  • 次は両手で2小節
    というように、ゴールが小さく作れます。

子どもは「できないこと」には弱いですが、「できそうなこと」には強いです。小さく区切られたゴールがあると、やり抜く力は自然に育ちます。

理由2:成長が可視化される(昨日との違いがわかる)

ピアノの良いところは、上達が“音”として出ることです。

  • 音が途切れなくなった

  • テンポが安定した

  • 間違える場所が減った
    こうした変化が見えると、「努力が無駄じゃなかった」と感じられます。努力が意味を持つと、子どもは続けられます。

理由3:失敗が前提の構造(間違えるのが普通)

ピアノは、最初から完璧に弾けることはありません。間違えるのが当たり前です。だからこそ、ピアノは“失敗の扱い方”を学ぶ場になります。

  • どこで間違えた?

  • どう直す?

  • 何を工夫する?
    この一連の流れが、やり抜く力のトレーニングになります。

理由4:自分のペースで積み上げられる

スポーツはチームや試合の都合で、相対比較が起きやすい面があります。一方、ピアノは“自分との勝負”を作りやすい習い事です。

  • 先週の自分より、少しだけ前へ
    この感覚が育つと、やり抜く力は「比較」ではなく「積み上げ」に変わります。

理由5:先生の声かけが成果に直結する

ピアノは、先生のフィードバックがそのまま次の行動になります。

  • どこを直せばいいかが具体的

  • どう練習すればいいかが明確
    この“次の一手”が分かる環境は、子どもにとって安心です。安心は挑戦の土台であり、挑戦はやり抜く力の源です。

4. アンドミュージックで見てきた「やり抜く力が芽生える瞬間」

ここから少し、教室の空気をお伝えします(個人が特定されない形で、よくある場面として書きます)。

場面A:最初は「できない」が口ぐせだった子

最初のころは、弾く前に「できない」と言う子がいます。ここで大事なのは、「できないって言わないの!」と止めることではありません。私たちは、こう返します。
「うん、最初はできないよ。じゃあ、どこならできそう?」
“できない”を否定せず、“できそう”に切り替える。この一言で、子どもは一歩動けます。

場面B:練習していない日が続いた子

家庭が忙しい時期、練習が止まるのは自然なことです。大切なのは“ゼロにしない”設計です。

  • 1日1回、鍵盤に触るだけ

  • 30秒だけ、好きな音を鳴らす

  • 1小節だけ、ゆっくり弾く
    続く子の多くは、練習時間が長いのではなく「途切れない工夫」を持っています。

場面C:発表会前に涙が出た子

発表会前は、誰だって怖いです。私たちは“怖さ”を消しません。代わりに、怖さを小さくします。

  • 今日のゴールは「途中で止まっても最後まで行く」

  • 次は「止まらずに最後まで行く」

  • 最後は「表情も入れてみる」
    こうして段階を踏むと、子どもは最後に自分で言います。
    「もう一回やる」
    この“自分の言葉”が、やり抜く力の核心です。

4.5 「やり抜く力」が育つ練習の“設計図”|アンドミュージックがよく提案する3ステップ

ここまで読んで、「なるほど。でも家ではどう回せばいいの?」と思った方もいるはずです。そこで、アンドミュージックでよくお伝えしている“やり抜く力が育つ練習の設計図”を、具体的にまとめます。ポイントは、子どもが自分で進められる形に落とすことです。

ステップ1:ゴールを「15分で終わる単位」にする

「この曲を完成させよう」は大きすぎます。最初は、15分以内に終わるゴールがちょうどいいです。

  • 今日はこの2小節だけ、ゆっくり弾く

  • 右手の指番号を守って弾く

  • 最後の和音をきれいに鳴らす
    終わりが見えると、子どもは安心して始められます。

ステップ2:練習の“型”を固定する(迷いを減らす)

続かない原因のひとつは「何からやればいいか分からない」ことです。型を固定すると、迷いが減ります。おすすめはこの順番です。
1)まず1回だけ通して弾く(できなくてOK)
2)引っかかった場所を1〜2か所だけ直す
3)もう1回通して終わる
これだけで、練習が“作業”ではなく“前進”になります。

ステップ3:終わりに「できたメモ」を残す

最後に10秒でいいので、「今日できたこと」を一言残します。親が書いても、子どもが書いてもOKです。

  • 右手が止まらなかった

  • ここのリズムが合った

  • 最後までやった
    このメモは、次にやる気が下がった日に効きます。「自分は前に進めた」と思い出せるからです。やり抜く力は、こういう“思い出せる仕掛け”で育ちます。

5. 「激褒め」はグリットを甘やかすのか?

アンドミュージックの特徴として「激褒めレッスン」を知ってくださっている方も多いと思います。ここで誤解されがちなのが、「褒める=甘やかし」という見方です。

私たちが大切にしているのは、“気分を上げる褒め”ではなく“事実を言語化する褒め”です。

  • 「今のリズム、前より安定したね」

  • 「音の出し方がやさしくなったね」

  • 「間違えたあと、すぐ戻れたね」
    こういう褒めは、子どもの中に「成長の地図」を作ります。

成長の地図があると、子どもは迷わなくなります。迷わないと、続けやすくなります。続くと、やり抜く力が育ちます。つまり、激褒めは“継続の設計”です。

6. 逆に、やり抜く力が育ちにくい環境とは

ここは大事なので、あえて書きます。同じ「ピアノ」でも、環境が違うと結果が変わります。

パターン1:完璧主義が強すぎる

  • 間違えるたびに止められる

  • 小さなミスが大きく指摘される

  • 「できて当たり前」が前提になる
    この環境では、挑戦より回避が増えます。回避が増えると、やり抜く力は育ちません。

パターン2:比較が中心になる

  • 他の子と比べられる

  • スピードだけが評価される

  • コンクールが唯一の尺度になる
    比較は短期の伸びには効くことがありますが、初心者の子どもには負荷が大きいこともあります。「自分のペースで積み上げる」感覚が薄れると、続けるのが難しくなります。

パターン3:次の一手が見えない

  • 何をどう練習したらいいかわからない

  • 宿題が抽象的

  • 家で再現できない
    この状態だと、努力が成果につながりにくく、モチベーションが下がります。やり抜く力を育てるには「何をすれば前に進むか」が明確であることが重要です。

6.5 「できない日」をどう扱うか|グリットが折れない子の共通点

どんな子でも、できない日はあります。むしろ、できない日の扱い方こそがグリットの本番です。折れない子に共通するのは、才能ではなく“立て直し方”を知っていることです。

アンドミュージックでは、できない日を「撤退」ではなく「調整」と呼ぶことがあります。たとえば、

  • 今日は練習をやめる → 代わりに鍵盤を触るだけにする

  • 今日は曲が嫌だ → 代わりに好きな音を鳴らす時間にする

  • 今日は集中できない → 代わりに先生に相談するメモを書く
    ゼロにしない。完全に手放さない。この小さな工夫が、結果的にやり抜く力を強くします。

「今日は無理」と言った子が、次の日に戻ってこられたら、それは立派なグリットです。私たちは、その“戻ってきたこと”を丁寧に扱います。音楽は、そういうやさしい再スタートを許してくれる場所でもあります。

7. 家庭でできる「やり抜く力」を育てる関わり方(今日からできる)

ここからは、ご家庭でできる関わり方です。難しいことは要りません。

1)問いかけを変える:「上手だった?」より「どこが良かった?」

結果評価は、子どもを短期モードにします。代わりに、プロセスに焦点を当てます。

  • 「今日、どこが一番よかった?」

  • 「昨日より良くなったところ、どこだと思う?」

  • 「先生に褒められたの、どこだった?」
    この問いかけが、成長を“自分で見つける力”を育てます。

2)練習のハードルを下げる:「毎日30分」より「毎日30秒」

忙しい日は、あります。続く家庭は“量”ではなく“途切れない工夫”を持っています。

  • 夕食前に30秒だけ弾く

  • お風呂の前に1小節だけ

  • 寝る前に好きな音を鳴らすだけ
    この小ささが、やり抜く力の母体になります。

3)比較をしない:「あの子はできるのに」を封印する

比較の言葉は、子どもの心をすり減らします。代わりに、“過去の自分”と比べます。

  • 「先週より、指が動いてたね」

  • 「前より音がきれいだったね」
    この言葉は、続ける力の燃料になります。

8. 体験レッスンで見たい「グリットが育つ教室」のチェックポイント

もし恵比寿でピアノ教室を探しているなら、体験レッスンで“やり抜く力が育つ設計”を見てほしいです。

チェック1:先生が「できた事実」を具体的に言うか

「上手!」ではなく、「何が良かったか」を言語化しているか。

チェック2:間違えたときの扱い

間違えた瞬間に、空気が重くならないか。「いいね、じゃあここだけもう一回やってみよう」と前に進めるか。

チェック3:宿題が“再現可能”か

家で何をすればいいかが具体的か。「右手をゆっくり」「この2小節だけ」など、行動に落ちているか。

チェック4:子どもが“自分で決める場面”があるか

「どっちの曲がいい?」「このテンポでいけそう?」など、子どもが選べる余地があるか。自分で決める経験は、継続の根になります。

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9. よくある質問(FAQ)

Q1. ピアノを習えば、誰でもやり抜く力が育ちますか?

A. 「ピアノ」という種目だけで自動的に育つわけではありません。目標の分解、声かけ、家庭の関わり方など、環境設計が整うほど育ちやすくなります。

Q2. すぐ飽きる子でもピアノは向いていますか?

A. 向いていないと決める必要はありません。むしろ、短いゴールを重ねられる環境なら「続く体験」を作りやすいことがあります。最初は“好きな音を鳴らすだけ”でも十分です。

Q3. 何歳から始めるとグリットが育ちますか?

A. 年齢よりも「安心して挑戦できるか」が重要です。小学生から始めて伸びる子もたくさんいます。

Q4. 発表会はやり抜く力に効果がありますか?

A. はい。発表会は“長期目標”を経験できる貴重な機会です。ただし、プレッシャーをかけすぎず、段階的に準備できる設計が大切です。

Q5. 親がピアノ経験ゼロでも大丈夫ですか?

A. まったく問題ありません。親が教える必要はなく、「続けやすい環境づくり」と「言葉のかけ方」だけで十分です。

10. まとめ|ピアノが育てるのは「最後までやってみよう」と思える心

「ピアノ やり抜く力」は、偶然ではありません。ピアノには、グリットを育てる仕組みがあります。

  • 目標が具体的で、小さく分解できる

  • 成長が可視化され、努力が実感できる

  • 失敗が前提で、立て直しを学べる

  • 自分のペースで積み上げられる

  • 先生の声かけで“次の一手”が明確になる

そしてアンドミュージックが大切にしているのは、音楽を通して「音と育つ」時間をつくることです。上手にすることだけがゴールではなく、

  • できない日があっても戻ってこられる

  • 自分で立て直せる

  • 小さな成長を喜べる
    そんな“続く力”を、あたたかく育てていきたいと思っています。

もし今、
「うちの子、続くかな…」
「すぐ諦めるのが心配で…」
と感じているなら。ピアノは、やり抜く力を育てる“やさしい練習場”になり得ます。その選択肢のひとつとして、知っていただけたらうれしいです。